相続の期限一覧:流れに沿って相続の全手続きを弁護士が解説

相続の期限には様々なものがあります。とくに重要な相続手続きについては各期限毎に何をするべきかの解説記事がありますが、相続手続きの流れに沿って相続の期限を一覧化して解説している記事は多くありません。

相続が開始したらすぐに死亡届の提出や戸籍・年金関係の手続きを行う必要があります。この記事ではこのような細かい相続手続きの期限まで一覧化して解説します。

あなたは、相続の期限をざっと知りたい、いつまでに何をするべきか悩んでおられると思います。この記事を読めば相続手続きとの関係で相続の期限を全て知ることができます。相続が開始したら、まず最初にこの記事を読んで必要な相続手続きを把握してください。

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

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相続の期限一覧

まずは相続開始からの流れに沿って、相続手続きの期限を一覧化しました。

STEP.1
期限:7日以内

死亡届の提出

STEP.2
期限:14日以内

戸籍・年金関係の手続き

STEP.3
期限:3か月以内

・相続放棄・限定承認

・相続調査

・遺言書の確認/検認手続き

STEP.4
期限:4か月以内

準確定申告

STEP.5
速やかに行う

・遺産分割協議の手続き

・不動産の変更登記申請

STEP.5
期限:10か月以内

相続税の申告

STEP.6
期限:1年以内

遺留分侵害額(減殺)請求

STEP.7
期限:2年以内

葬祭費・埋葬費・高額医療費の請求など

STEP.7
期限:3年以内

・相続税の軽減措置の適用

・死亡保険金の請求

STEP.8
期限:5年以内

遺族年金の申請

STEP.9
期限:5年10か月

相続税の還付請求

MEMO

相続の期限は、「死亡日から~日以内」や「相続開始を知ったときから~か月以内」というように期限が決まっています。期限について調べると死亡日と相続開始日は同じか違いか混乱されるかもしれませんが、死亡日と相続開始日はほぼ同じと考えて貰って構いません。

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相続開始から7日以内:死亡届の提出期限

 

被相続人が死亡して相続が開始すると死亡届を提出する必要があります。

死亡届は、原則として死亡を知った日から7日以内に死亡地、本籍地、住所地のいずれかの市区町村の戸籍・住民登録窓口に提出しなければなりません。死亡届を提出する時は、医師による死亡診断書(警察による死体検案書)、届出人の印鑑が必要となります。なお、死亡届の提出は役所でも24時間受け付けています。

また、死亡届の提出と同時に死体火葬許可申請書を提出して死体火葬許可証を受領します。死体火葬許可証は被相続人を火葬するために必要なので忘れずに申請して下さい。

 

相続開始から14日以内:戸籍・年金関係の手続期限

 

年金受給停止の手続き

被相続人が年金を受給していた場合は年金受給の停止手続きを行います。手続きの期限は厚生年金は死亡後10日以内、国民年金は死亡後14日以内とされています。

なお、年金は2か月に1度の支払いであるため、死亡時までの年金が未払いになることがあります。未払いの年金があるときは給付の請求ができます。

介護保険資格喪失届

被相続人が介護保険を受けていた場合、相続開始後14日以内に介護保険資格喪失届を市区町村の福祉課等に提出します。提出時に介護保険証などが必要となります。

住民票の抹消届(手続きは不要)

相続開始後14日以内に住民票の抹消手続きをしなければならないとされています。しかし、死亡届を提出すると住民票も抹消されるので、原則として改めて住民票の抹消届を提出する必要はありません。

世帯主の変更届

世帯主の変更届は、被相続人が3人以上の世帯の世帯主であった場合に必要となります。世帯主の変更届は、市区町村の戸籍・住民登録窓口に提出します。その際、届出人の印鑑と本人確認できる証明書類(免許証、パスポートなど)が必要となります。

 

相続開始を知った時から3か月以内:相続放棄・限定承認の期限

被相続人に借金があったときは相続放棄・限定承認が必要

被相続人に借金があったときは相続開始を知ったときから3か月以内に相続放棄・限定承認をするか検討する必要があります。相続は被相続人のプラスの遺産(相続財産)も借金(債務・負債)も承継するのが原則です。

しかし、あなたも知らなかった被相続人の借金を相続で否応なしに承継するのは不公平です。そこで相続開始から3か月という期限内に相続放棄・限定承認の手続きを行えば、被相続人の借金を相続せずに済みます。

  • 相続放棄:被相続人の相続財産を一切相続しない
  • 限定承認:被相続人のプラスの遺産(相続財産)の範囲内で借金の返済義務を負う

借金の相続に関しては下記記事も参考にしてください。
(参考)借金の相続で大損しないために知らなかった借金の調べ方や相続放棄の注意点などを解説

注意

相続放棄・限定承認は相続開始から3か月以内の期限内にするべきことは非常に重要な点です。相続放棄・限定承認をしないと知らなかった借金を相続してしまい大損をするリスクがあります。不安なときは3か月という期限が過ぎる前に遺産相続に強い弁護士に早めにご相談ください。

早めに相続調査を行う

法律上必要な相続手続きではありませんが、実務上はできるだけ早めに相続調査の手続きを行います。期限は決まっていませんが、相続放棄・限定承認が相続開始を知ったときから3か月以内にする必要があるため、同じく相続開始から3か月以内に相続調査を行うべきです。

相続調査とは、相続人や相続財産を調査することで、遺産(相続財産)が誰にどのぐらい分配されるかを確定するための手続きです。3か月という期限内に相続放棄・限定承認をするためには、そもそも誰が相続人になるのか、どれぐらい遺産(相続財産)があるのかを知る必要があります。

相続調査自体には期限はありませんが、実務的には相続放棄・限定承認の期限前には相続調査を完了する必要があります。相続調査については下記記事を参考にしてください。
(参考)相続調査とは?相続人調査と相続財産調査に分けて何を行うかやメリットを相続弁護士が解説

遺言書の確認・検認手続き

遺言書の確認・検認手続きも法律上の期限はありませんが、実務上はできるだけ早くに行いたい手続きです。相続手続きは遺言書の有無によって展開が大きく異なります。

遺言書がないときは相続人全員の遺産分割協議が必要になります(法律上は期限なし)。他方で、遺言書があるときは、原則として遺言書通りに遺産(相続財産)が分配され、著しく不公平なときだけ遺留分侵害額(減殺)請求を10か月以内の期限に行うことができます。

相続手続きが大きく変わってくるため、法律上は期限はないものの、実務上は相続調査と並行して相続開始から3か月以内には遺言書の確認・検認手続きを行うことをおすすめします。

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相続開始による準確定申告期限(4か月以内)

 

準確定申告とは

準確定申告は被相続人の所得税を清算する手続です。所得税の申告は1月から12月の1年間について行いますが、被相続人が年度途中で死亡すると1月1日から死亡した日まで所得があっても申告できません。そこで、相続人が被相続人の代わりに1月1日から死亡した日までの所得について申告・納税を行うのが準確定申告手続きです。

準確定申告が必要になるケース

準確定申告は被相続人が事業を行っていたときや不動産賃貸業を行っていたなどで個人として所得があるときです。また、被相続人に400万円を超える年金収入があるときも確定申告が必要となります。

MEMO

申告・納税=税金が取られるというイメージですが、源泉徴収された所得税の還付があるときもあります。準確定申告をしてお金が返ってくるケースもあるので、きちんと手続きを行いましょう。

準確定申告・納税期限は相続開始を知った日の翌日から4か月以内

準確定申告は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に、相続人が申告と納税をしなければなりません。通常の確定申告は毎年2月16日から3月15日までが期限ですが、これと異なり準確定申告の期限は相続開始を知った日の翌日から4か月という期限なので注意が必要です。

準確定申告の手続き

準確定申告及び納税手続きは相続人が行います。相続人が複数いる場合は、相続人の連書により準確定申告をしなければなりません。確定申告書付表という書式に、相続人等に関する事項を記載する必要があります。

なお、各相続人が別々に提出する方法も可能ですが、この場合、申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければならないことになっています。つまり、一部の相続人が行った準確定申告の内容を他の相続人に知らせれば、個別に準確定申告を行うことができます。

準確定申告における所得控除

通常の確定申告では所得控除の適用基準は年末の現況で判断します。しかし、準確定申告の場合、被相続人は年度途中で死亡しているので、相続開始日までに支払ったもの、あるいは相続開始日の現況で判断することになります。

主だった所得控除の対象は、被相続人が死亡するまでに支払った医療費、社会保険料、生命保険料、損害保険料です。また、配偶者控除、扶養控除は、相続開始日の現況で判断します。

準確定申告の申告先と必要書類

準確定申告の申告先は、被相続人の相続開始時の住所地を管轄する税務署です。あくまで被相続人が基準となるので、被相続人と離れて暮らしているご家族は注意が必要です。

申告の必要書類は、①確定申告書、②確定申告付表、③給与や年金の源泉徴収票、④医療費控除のための領収書、⑤生命保険や損害保険の控除証明書です。①②は税務署にあるので、持参するのは③~⑤の書類になります。

 

相続開始から速やかに行うべきこと

法律上は遺産分割協議や不動産の変更登記についての期限はありません。しかし、遺産分割協議をしないと相続税の申告に支障をきたす場合があります。なるべく早く遺産分割協議・不動産の名義変更登記を行いましょう。

 

遺産分割協議の期限はないものの…

被相続人の遺言書がないときは相続人の話し合いで遺産(相続財産)の分配を決めます。遺産(相続財産)の話し合いを遺産分割協議と言います。
(参考)遺産分割の手続きで損をしないための進め方と知っておくべきポイント

遺産分割協議をまとまるとその内容を遺産分割協議書にします。遺産分割協議書は、不動産の相続登記・金融機関への預貯金払戻しなどでも必要です。遺産分割協議の期限はありませんが、スムーズに相続手続きを進めるためには、なるべく早く遺産分割協議を行うことをおすすめします。

不動産の相続登記を行う

遺産(相続財産)に不動産があるときは不動産の相続登記も必要になります。不動産の登記手続きについても法律上は期限が定められていません。

しかし、登記をしないと不動産の処分ができませんし、遺産分割協議・不動産登記をしないまま、次々と相続が起きて収拾がつかないケースもあります。そのため不動産の相続登記も早めに行いましょう。

不動産の相続については下記記事も参考にしてください。
(参考)不動産相続の全知識:分け方や必要な手続き・書類・費用を徹底解説

 

相続開始から10か月以内:相続税の申告・納税期限

 

被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内が相続税の申告・納税期限です。

相続手続きの期限について、真っ先に相続税の申告・納税期限を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、相続税は全ての人が納めるわけではありません。相続税を納めなければならないのは、相続全体の5%程度と言われています。
目安としては遺産(相続財産)の金額が相続税の基礎控除額(3000万円+法定相続人の数×600万円)を超える場合は相続税の申告・納税が必要になる可能性があります。

相続税の申告をするか否かは相続人が計算を行って判断します。相続税の申告の要否や具体的な税額は相続人が算出することになります(実際には税理士に申告を依頼することになります)。遺産(相続財産)が基礎控除金額を超えそうなときは早めに専門家にご相談ください。

また、相続税が課税される可能性のある場合でも相続税額軽減の特例が活用できるときもあります。特例を活用した場合、相続税が課税されなくても特例を活用した旨の申告が必要になることもあります。相続税は高額になりやすいので、大きな損をしないように一度は相続税についてご相談することをおすすめします。

遺産分割協議と相続税申告について

遺産分割協議が揉めたときは、10か月以内の期限内に相続税申告ができないのではと心配される方もおられます。しかし、遺産分割協議がまとまらない場合でも相続税申告の手続きを行うことができます。もし遺産(相続財産)の分配に納得いかないときは、きちんと遺産分割協議や遺産分割調停・審判の手続きを行いましょう。

 

相続開始から1年以内:遺留分侵害額(減殺)請求の時効期限

遺留分侵害額(減殺)請求とは

遺言書があったときには遺留分侵害額(減殺)請求が問題になります。遺留分侵害額(減殺)請求とは、遺言書において、あなたに分配される遺産(相続財産)が遺留分(概ね法定相続分の1/2)を下回るときは、遺留分までの金額を請求できる制度です。

このようなあなたにとって著しく不利な遺言書があるときは、そのことを知った時から1年以内の期限であれば遺留分侵害額(減殺)請求を行うことができます。

MEMO

あなたが被相続人の兄弟姉妹として法定相続人であるときは遺留分制度の対象とはなりません。遺留分が認められる法定相続人は、被相続人の配偶者・子ども・親などです。

遺留分侵害額(減殺)請求は期限に行使しないと時効消滅する

遺留分侵害額(減殺)請求には期限が定められています。遺留分侵害額(減殺)請求権は、「相続の開始」と「減殺すべき贈与又は遺贈があったこと」を知った時から1年以内に行使しなければ時効によって消滅してしまいます。知ったか知らなかったかの争いを避けるため原則として遺留分減殺請求の期限は相続開始から1年以内と考えて下さい。

遺留分に関しては、下記記事も参考にしてください。
(参考)遺留分侵害額(減殺)請求に応じないときのたった1つのポイント:拒否する根拠や成功させる方法も解説

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相続開始から2年以内:葬祭費・埋葬費・高額医療費の請求期限

 

健康保険に関して葬祭費・埋葬費が請求できる

被相続人が健康保険(被用者保険)、国民健康保険加入していたときは、葬祭費・埋葬費の給付制度があります。約2年間の申請期限内に各保険の窓口に申請することにより、数万円から数十万円程度の給付を受けることができます。

詳細については被相続人が加入していた各保険の窓口にお問合せください。

高額医療費の還付請求

被相続人の医療費が高額になったときには、高額医療費の還付金の払戻しを受けることができる場合があります。こちらも約2年間の申請期限内に手続きを行う必要があるのでご注意ください。

 

相続開始から3年以内:相続税の軽減措置適用期限・死亡保険金請求期限

相続税の軽減措置適用期限について

遺産分割協議が揉めたときは10か月以内に遺産分割が終わらず相続税軽減措置の特例を適用できないことがあります。このような場合でも、遺産分割が相続開始から3年以内に確定した場合は軽減措置の適用を受けることができます。

相続開始から10か月以内の相続税の申告・納付期限では遺産分割を法定相続分で行ったとして手続きを行います。そして、相続開始から3年の期限内に実際の遺産分割が確定した場合は、相続税の軽減措置の特例を適用することで既に納付した相続税額の還付を受けることができます。

具体的な相続税の軽減措置としては以下のようなものがあります。

名称 内容
配偶者の税額軽減 配偶者が相続した相続財産については、1億6000万円又は法定相続分までを相続したのであれば相続税の納付が免除されます。
小規模住宅地の特例 被相続人の宅地のうち240㎡までの部分については一定の条件を満たせば、通常の相続税評価額の20%として宅地を評価して良いとする特例です。つまり、小規模宅地の特例を使うことができれば約80%の減税になります。

 

生命保険について死亡保険金の請求期限

 

被相続人が死亡したときに支払われる死亡保険金の請求権は3年間で時効消滅します。従って、3年の期限内に必ず死亡保険金を請求しましょう。

死亡保険金の請求は、保険契約書・保険受取人が行います。保険会社に連絡をして必要書類の案内を送って貰い手続きを行いましょう。死亡保険金を請求するときは以下のような書類が必要になります。

  • 死亡保険金の請求書
  • 被保険者(被相続人)の住民票
  • 保険受取人の戸籍抄本
  • 保険受取人の印鑑証明書
  • 死亡診断書
  • 保険証書など

死亡保険金の請求期限は3年以内ですが、万が一、請求期限を過ぎたときでも死亡保険金を受け取れる場合があります。被相続人が死亡してから3年が経過した後に保険証書が出て来たときは弁護士にご相談ください。

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相続開始から5年以内:遺族年金の受給申請期限

 

被相続人が国民年金・厚生年金に加入しているときは遺族年金が受給できます。遺族年金については被相続人の年金の納付状況等によって貰えるものが異なります。
(参考)日本年金機構HP:遺族年金

しかし、年金を受けられる権利は権利発生から5年経過によって時効消滅するとされています。もし5年経過によって遺族年金の受給申請期限が過ぎた場合でも、書面で請求することで受給できる場合があります。手続きが分からないときは弁護士にご依頼ください。

 

 

相続開始から5年10か月以内:相続税の還付請求期限

 

相続税の還付請求は、相続税の申告・納付をしたものの相続税額の計算を誤って過大に相続税を支払ったときに取り戻す制度です。

相続税の還付請求ができるのは例外的なケースだと思われがちですが、実は相続税申告の約80%は払い過ぎだとも言われています。なぜなら、相続税の申告・納付の責任は納税者にあるため、税務署は相続税を支払い過ぎても教えてくれないからです。

また、税理士に依頼したケースでも、経験不足などであることや十分な軽減措置が適用できないことから、相続税を払いすぎていることもあるのです。従って、相続税の申告・納付をした後でも5年10か月以内であれば相続税の還付請求ができないかセカンドオピニオンを取ることが考えられます。

相続税の還付請求が認められれば、払い過ぎた相続税が返ってきます。もっとも、還付請求の期限は相続開始から5年10か月以内です。もし、相続税の申告・納付に不安があるときは早めに専門家に相談することをおすすめします。

 

期限がないとされる遺産分割協議をしなかったときの問題点

遺産分割協議には法律上の期限がないとされています。しかし、遺産分割協議をしないと問題が生じる場合がありますので、最後にこの点を解説します。

 

民法上、遺産分割の期限はない

民法上は遺産分割の期限は定められていません。そこで、一見すると遺産分割に期限はなく、相続開始後にいつ行っても良いように思われます。しかし、遺産分割を先延ばしにすると様々な弊害が生じます。

相続税の延滞税が生じるリスク

相続税の申告期限は相続開始から10か月以内です。しかし、遺産分割協議が整わず、相続税を支払う必要があるか判断できないまま相続税の申告期限が経過したとします。

ようやく遺産分割が完了した結果、相続税の申告・納税が必要であると判明した場合、相続税の延滞税(税率は最初の2か月が年4.3%、その後は年14.6%です。)が生じることになるので相続人にとって不利益です。

相続登記ができない

また、遺産分割協議ができないと相続登記ができません。相続登記も法律上の期限はありません。しかし、登記は自分の権利を対外的に主張するために必要なものです。相続によって取得した不動産は自分のものだと第三者に主張するには、相続の登記が必要です。

トラブルを避けるために遺産分割協議を早めに行い、すぐに相続登記することをお勧めします。

 

まとめ:相続の期限を一覧化して手続きを把握しよう

この記事では相続の期限を一覧化して解説しました。相続の期限には細々としたものから、とくに重要なものがあります。とくに重要な相続手続きの期限については別途詳しく解説しますが、相続が開始したら最初に相続の期限を一覧化して把握しましょう。

相続の期限の中にはうっかり期限を過ぎてしまうと大きな損をするものもあります。この記事が皆様の相続手続きにおいて役に立ちましたら幸いです。

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