【最新版】遺言書の探し方を解説:2020年7月スタートの自筆証書遺言制度等の最新情報

遺言書の探し方は相続開始したら最初に問題となる点です。遺産相続の問題は遺言書の有無によって進め方が大きく異なります。

あなたの親族が亡くなったときには、相続手続きを行う前に遺言書の有無を確認することをおすすめします。遺言書制度は2020年7月に自筆遺言書の保管制度もスタートしました。

本記事では2020年7月の新制度も踏まえて遺言書の正しい探し方や、見つけた場合の注意点などについて遺産相続に強い弁護士が解説します。

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

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遺言書の種類によって異なる探し方の特徴

 

遺言書を探す前に、まず遺言書の種類を説明します。なぜなら、遺言書の種類によって探し方が変わってくるからです。遺言書は、大きく分けて「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

遺言書を探すときには自筆証書遺言>秘密証書遺言>公正証書遺言の順番で難しくなります。

自筆証書遺言と探し方の問題点

自筆証書遺言とは、遺言者(被相続人)が自分で書いて作成する遺言書のことです。遺言書として成立させるためには、全文を本人が書いたうえで、年月日の記入・署名・押印を行うことなどが条件になります。

自筆証書遺言は、そもそも遺言を作っているか否かや保管場所を遺言者しか知らないことがあるため最も探すのが難しいと言えます。

公正証書遺言と探し方の問題点

公正証書遺言とは、遺言書を公正証書にしたうえで公証人役場に保管してもらうという方法です。

具体的には、遺言をした被相続人が公証人役場まで出向き、2人以上の証人が立ち会いのもとで遺言書を口述して公証人が作成します。公正証の作成手続きを公証人が行うため、手続きの不備によって遺言書が無効になる心配がなく、公証役場が保管してくれているので紛失のおそれもないというメリットがあります。

公正証書遺言は、公証役場が遺言書を保管しているため一番探しやすい方法と言えます。

秘密証書遺言と探し方の問題点

秘密証書遺言は、遺言書を封筒にいれて「本人の遺言」という証明を公証人役場でもらい、遺言書そのものは自分で保管する方法です。

秘密証書遺言は、公証人が確認はしますが、遺言書の内容や形式はチェックしていないので無効になるリスクはあります。但し、秘密証書遺言の方式として不備があるときでも、自筆証書遺言の要件を満たしていれば自筆証書遺言として有効に扱われます。

秘密証書遺言は、公証役場で遺言書作成の事実は確認できますが、遺言書自体は遺言者(被相続人)が保管しているため自筆証書遺言と同様に探す必要があります。

MEMO

秘密証書遺言は実務上はあまり選択されません。特殊なケースと言えるため、本記事では基本的に公正証書遺言と自筆証書遺言の探し方を念頭に解説します。秘密証書遺言が残されている場合は、自筆証書遺言の探し方を参考にしてください。

以上のように、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の違いを踏まえて、遺言書を探す必要があります。もっとも、被相続人が遺言書を作成したこと自体を秘密にしているケースがあります。

そのため、どのような方式で遺言書が作成されているかが分からないことを前提として、効率的に遺言書を探す必要があります。

 

STEP1:公証役場に問い合わせ(公正証書遺言・秘密証書遺言の探し方)

効率的に遺言書を探すために、まずは公証役場に問い合わせをしましょう。公正証書遺言・秘密証書遺言の方式で遺言書が作成されている場合は、公証役場に問い合わせることで手掛かりがつかめるからです。

 

遺言検索システムによる公正証書遺言の探し方

遺言者(被相続人)が公正証書遺言を作っているときは、最寄りの公証役場に問い合わせるだけで公正証書遺言を探すことができます。

平成元年以降に作成された公正証書遺言については遺言検索システムによりデータが一元管理されています。公正証書遺言の探し方はこの遺言検索システムを利用することになります。

 

公正証遺言を探すための必要書類

公正証書遺言は最寄りの公証役場から全国を対象として調べることができます。しかし、遺言書の存在は本来秘匿すべきもののため、問い合わせに応じてくれるのは相続人かその代理人に限られます。そのため問合せをするためには以下のような書類が必要となります。
(参考)公正証書センター:遺言検索について

  • 遺言者の死亡を証明する戸籍謄本と除籍謄本など
  • 自分が相続人であることを証明できる戸籍謄本
  • 本人確認資料(運転免許証などの顔写真付き身分証明書など)
  • (代理人による請求)委任状・印鑑証明書・代理人の本人確認資料

 

公正証書遺言を探すときの問い合わせ先

公正証書遺言を探すときの問い合わせ先は最寄りの公証役場です。

公証役場は独自のネットワークによってつながれているため、遺言書を作成した公証役場がわからなくても問題はありません。

訪れた公証役場に遺言書が保管されていれば、すぐに写しをもらって内容を確認することが可能です。他の公証役場に遺言書が保管されていた場合は、そちらに出向いて写しをもらうことになります。

なお、遺言検索システムで遺言書を探すことができるのは本人が亡くなっている場合のみです。たとえば、親が危篤状態なので早めに遺言書を探して内容を確認しようと思ってもできません。

MEMO

被相続人が秘密証書遺言を作っていた場合には、公証役場に問い合わせることで遺言書を作成したことは分かっても、どこに遺言書があるかまでは分かりません。もし、秘密証書遺言が存在している事実がわかれば、以下で説明する自筆証書遺言の探し方と同じやり方で遺言書を探すことになります。

 

STEP2:2020年7月改正の自筆証書遺言保管制度での探し方

一般的な自筆証書遺言の探し方を説明する前に相続法改正による自筆証書遺言保管制度について説明します。自筆証書遺言保管制度は2020年7月10日から始まった自筆証書遺言を法務局で預かってもらえるという制度です。
(参考)法務省HP:法務局における自筆証書遺言書保管制度について

そのため、自筆証書遺言の有無を確認したい場合はやみくもに探すのではなく、まず法務局に問い合わせてみるのが賢明といえます。被相続人が亡くなったら全国どこの法務局(遺言書保管所)でも良いので、遺言書が預けられているかを確認することができます。確認時の必要書類は以下の通りです。

  • 遺言者の死亡を証明する戸籍(除籍)謄本
  • 請求人の住民票の写し
  • 相続人であることを確認できる戸籍謄本

法務局(遺言書保管所)に遺言書が保管されていることが分かれば、遺言書の内容の証明書を取得したり、遺言を閲覧することができます。

注意

自筆証書遺言保管制度では、令和3年以降に遺言者(被相続人)の死亡時に遺言書が保管されている旨を通知する制度が本格的に開始されます。しかし、当該通知制度は遺言者(被相続人)が希望してる場合のみなので、通知がない場合でも積極的に相続人が自ら上記の通り法務局(遺言書保管所)に問い合わせる必要があるのでご注意ください。

 

STTEP3:自筆証書遺言の探し方;保管可能性の高い順に調べてみよう!

公証役場や法務局(遺言書保管所)に問い合わせても遺言書が保管されていないときは、被相続人がどこかに遺言書を保管している可能性があります。

この場合は、遺言書の保管場所として考えられる可能性は無限にあるため、可能性が高いところを捜索する探し方をとらざるを得ません。

遺言書の探し方のコツ:被相続人の気持ちになる

遺言書を探すときには、遺言者(被相続人)がどのように考えて遺言書を保管しているかを相続することが重要です。遺言者(被相続人)の気持ちになった場合、自分が生存中は遺言書が見つかって親族と揉めたくない、他方で自分が死亡後に遺言書が見つからないのも困るというジレンマがあります。

従って、「自分が死んだら相続人が探すことが予想されるものの、自分が生存中にうっかり他人が見ないような場所」を考えるのが遺言書の探し方のコツとなります。

そして、とくに有力な候補として挙げられるのは「自宅」「会社」「金融機関の貸金庫」「親しい友人や知人」の4つです。

自宅における遺言書の探し方のポイント

被相続人が遺言書を保管している可能性が高い場所としてまずは自宅を探すべきでしょう。

特に、タンスや机の引き出し、仏壇、本棚などにしまってある可能性は高いといえます。また、日記に遺言書の場所ことが書かれているかもしれないため、日記を見つけた場合は一通り読んでみることがおすすめです。

会社における遺言書の探し方のポイント

次に会社ですが、被相続人が経営者であれば会社の金庫、デスク、キャビネットなどの中に遺言書をしまっている可能性があるため一通り探します。単なる従業員の場合でも可能性は低いものの、一応個人のデスクやロッカーの中などは探しましょう。

金融機関の貸金庫における遺言書の探し方について

金融機関の貸金庫も遺言書の保管場所として、しばしば用いられるため探すことが考えられます。ただし、被相続人の貸金庫を開けるには相続人全員の同意および金融機関での手続きが原則として必要です。

MEMO

相続人同士が遺産相続問題で揉めているときは、相続人全員の同意を得られない可能性があります。このような場合は、実務上は、公証人立ち会いのもとで「事実実験公正証書」の作成をすることで、一部の相続人しか同意を得られなかったとしても、金融機関は貸金庫の開扉請求に応じてくれる場合があります。もっとも、かなり特殊な場合であり、金融機関によっても対応が異なるため、このようなときは弁護士に相談することをおすすめします。

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親しい友人や知人に預けているケース

心当たりのありそうな場所を探しても見つからなければ、念のために故人の友人や親しい知人などに連絡して遺言書を預かっていないかを確認しておくのが無難でしょう。

なお、映画やドラマなどでは弁護士が遺言書を預かっているケースがありますが、原則として弁護士が遺言書作成に関わる場合は公正証書遺言の方式で作成します。基本的には弁護士が現れて遺言書を預かっていることはあまりないでしょう。

 

STEP4:自筆証書遺言や秘密証書遺言を見つけたときの注意点

家庭裁判所における検認手続きを行う

遺言書を見つけた場合、中に「何が書いてあるのか」は、誰しも気になるところです。しかし、たとえ自筆証書遺言や秘密証書遺言を見つけたとしても、決してその場で開封してはいけません。自筆証書遺言や秘密証書遺言については家庭裁判所での「検認手続き」を行う必要があります。

MEMO

法務局における自筆証書遺言保管制度を利用しているときは検認手続きは不要です。

もし、検認手続きを怠ると過料のペナルティがありますし、他の相続人から自分に有利な内容に書き換えたのではないかと疑われることにもなりかねません。そうなると、相続争いに発展してしまう可能性もあるため、十分な注意が必要です。

また、遺言書が封印されているときは、家庭裁判所において開封する必要があります(民法1004条3項)。もし検認手続きを知らずに、遺言書を開封をしてしまったときはすぐに弁護士に相談することをおすすめします。

 

まとめ:相続開始直後に重要となる遺言書の探し方を理解する

遺産相続の問題は、遺言書の有無によって大きく手続きが変わります。遺言書の有無を早期に把握することで、どのような対応が必要かを検討することができます。

この記事では遺言書の探し方について説明しましたが、最後に重要な点をまとめておきます。

  • 遺言書の種類によって探し方が違う
  • 公正証書遺言の探し方=公証役場に問い合わせる
  • 新しく自筆証書遺言保管制度が始まったので注意する
  • 自筆証書遺言の探し方は、遺言者の死後に見つかりやすいが生前に他人に見られない場所を考えるのがコツ

最初に遺言書をきちんと探しておかないと、被相続人の遺産(相続財産)を相続人で配分した後で遺言書が見つかると非常に面倒なことになってしまいかねません。そのような事態を避けるためにも、遺言書の有無は遺産配分の話し合いを行う前によく確認するようにしておきましょう。

また、遺言書の有無と並行して、相続財産の調査も行う必要があります。相続財産の調査については下記記事も参考にしてください。
(参考)相続財産調査費用の相場と弁護士に依頼する3つのメリット

 

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