遺産分割調停に強い弁護士に依頼するために知っておきたいポイント

 

遺産分割調停を弁護士に依頼するべきか悩んでいませんか?

相続人が複数いるため遺産分割調停を申し立てるときは、弁護士に依頼する方は少なくありません。しかし、弁護士に依頼するメリットや遺産分割調停に強い弁護士の選び方が分からないという悩みも耳にします。

 

結論から言えば、遺産分割調停を有利に進めるには弁護士に依頼することが欠かせません。

今回は、遺産分割調停を弁護士に依頼する重要性やメリット、弁護士費用や遺産分割調停に強い弁護士の選び方など気になるポイントについて解説していきます。遺産分割調停の実務経験を踏まえて弁護士が詳しく説明しますので、弁護士選びで損をしないために最後までお読みください

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

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遺産分割調停に弁護士は必要か?

 

遺産分割調停はどんな手続きか

遺産分割調停は、相続人が複数いる場合にどのように遺産を分割するかを裁判所で話し合う手続きです。相続人同士で話し合う遺産分割協議を行っても、決着がつかない場合に裁判所の調停委員に介入して貰って話し合いを行います。

統計調査によれば、平成30年の遺産分割調停の新規受任件数は約1万3000件に上りました。毎日約35件以上もの遺産分割調停が新たに申し立てられていることになり、遺産分割がいかにトラブルになりやすいかがわかるでしょう。

遺産分割調停は法的知識が要らない?

調停手続きはあくまで話し合いであるため、法的知識は不要だと考えている方もおられます。たしかに遺産分割調停は話し合いであり、結論に同意できなければ従う必要がありません。

しかし、遺産分割調停を主導する調停委員は法的にどのような結論になるかを念頭に置きつつ話し合いを進めます。もし、自分に法的知識がないまま遺産分割調停に臨んでしまうと、本当は貰えるはずの遺産が貰えない等の大損をするリスクがあります。

調停委員はあなたの味方ではない

調停委員は中立的な立場であるため、あなたの味方ではありません。あなたに法的知識がないため損をしそうな場合でも、話し合いがまとまれば調停を成立させてしまいます。調停委員が「あなたは損をしてますよ」と有利なアドバイスは行ってくれないのでご注意ください。

一度は遺産分割調停に強い弁護士に相談する

遺産分割調停では、相続人の事情や主張を考慮しながら誰がどの程度の相続財産を受け取るかを決めます。この場合に基準になるのは、「法律上はどのように遺産が分配されるか」です。

法律上の判断を伴うため、自分だけで遺産分割調停を行うのは危険です。少なくとも一度は遺産分割調停に強い弁護士に相談することをおすすめします。

遺産分割調停のよくある論点は専門性が高いため弁護士でないと理解できないことが多く、相続人だけでは調停が進みにくい可能性があるためです。遺産分割調停で解決までにかかる期間は平均1年ほどですが、中には泥沼化して3年以上かかるケースもあります。これではいつ遺産を受け取れるのかわからずお互いに疲弊してしまいますし、相続税の申告期限までに遺産を分割しておかないと税金面でさまざまな不利益を被る恐れがあるのです。

この点、遺産分割調停に強い弁護士に依頼すれば専門知識や経験を活かして効果的な話し合いができるため、解決までの期間を短縮できる可能性が高まります。スムーズな解決を目指すうえで、専門家である弁護士のサポートを受けることは非常に重要なのです。

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遺産分割調停を弁護士に依頼する5つのメリット

法律相談において弁護士から助言を受けても、なかなか遺産分割調停を自分だけで対応することは難しいです。弁護士に相談して遺産分割調停を行ったものの、やっぱり手に負えなくなりご依頼される方も少なくありません。

それでは、遺産分割調停に強い弁護士に依頼することに、どんなメリットがあるのでしょうか。

 

法的観点から遺産分割調停のアドバイスを受けられる

遺産分割調停では、法律知識と感情面の両方が重要になります。遺産分割協議が難航した理由として、相続人同士の感情的な対立が原因であることは非常に多いです。しかし、相続人同士が直接話し合う遺産分割協議は感情論になっても、遺産分割調停は裁判所の手続きであるため法的観点を踏まえた主張が欠かせません。

遺産分割調停に強い弁護士であれば、あなたが抱える感情的な側面に配慮しつつも、遺産分割調停を有利にすすめるための法的なアドバイスをして貰えるというメリットがあります。法律上はどのような基準で遺産分割調停を進めるかを弁護士から教えて貰うことで、感情的にも納得できる場合も少なくありません。

 

遺産分割調停の準備を弁護士に任せられる

また、遺産分割調停に強い弁護士に依頼すれば、調停の準備をほぼすべて弁護士に任せられることもメリットです。

遺産分割調停は裁判所で行われる公的な手続きであるため、とくに遺産分割調停の申立てにはさまざまな書類を提出しなければなりません。遺産分割調停の必要書類は個々のケースにより異なりますが、当事者や遺産に関する目録を含めた申立書をはじめ、戸籍謄本や住民票、不動産登記事項証明書や預貯金の残高証明書など、多岐にわたります。これらの書類をすべて自分たちで準備するのは、時間や労力の面でも非常に負担が大きいでしょう。

さらに、遺産分割調停が始まってからも、相手方や調停委員の言うことを理解して手続きを有利にすすめるためには準備が欠かせません。調停委員がポイントと考える点を外して準備をすれば、相手方の有利なまま遺産分割調停が進むリスクがあります。

しかし、遺産分割調停を弁護士に依頼すれば、遺産分割調停を申し立てて、有利に進めるための準備を弁護士がほぼ全て代行します。遺産分割調停に強い弁護士が書類を準備すれば記入ミスや添付漏れといった不備も起きにくいため、スムーズに調停に入れるでしょう。

遺産分割調停への同行

弁護士に遺産分割調停を依頼した場合は、弁護士が遺産分割調停に同行します。信頼できる専門家があなたの味方をしてくれることは非常に心強いものです。自分一人では言いたいことを十分主張できない方は、とくに弁護士に依頼することをおすすめします。

また、どうしても遺産分割調停の期日に出席できない場合には、弁護士が本人の代わりに遺産分割調停に代理して話し合いを進めることも可能です。調停期日は平日昼間に行われるため、仕事で忙しいような方も弁護士に依頼する必要性が高いでしょう。

 

弁護士に依頼すれば遺産分割調停を有利に進められる

遺産分割調停を有利に進められることも弁護士に依頼するメリットです。とくに相手方が弁護士に依頼しているような場合は、遺産分割調停を有利に進めるためには自分も弁護士に依頼することが必要不可欠です。

遺産分割調停では、相続人たちの間に調停委員が入り、それぞれの主張や事情を考慮したうえで遺産分割についてアドバイスや提案を行います。しかし、調停委員は中立的な立場であるため、遺産分割調停をあなたに有利に進めることは出来ません。

遺産相続を巡る事実関係を整理し、法律上意味のある主張に組みたてることは、自分自身でしなければなりません。有利な事実関係や法律・裁判例があっても、自分が知らないために主張できなければ損をしてしまいます。

遺産分割調停に強い弁護士に依頼すれば、あなたから事実関係を聴き取ったうえで、相手方や調停委員を納得させるために法律上有効な主張に組みたててくれます。遺産分割調停で損をしたくない、有利に進めたいのであれば、遺産分割調停に強い弁護士に依頼するメリットは十分あるでしょう。

 

弁護士がいれば遺産分割調停で調停委員を味方にできる

調停委員は遺産分割調停を中立的な立場から進めます。しかし、相手方が感情的になっているのに対し、あなたが弁護士に依頼して法的観点から主張をすれば、どうしても調停委員は弁護士が付いてる側に味方をしてしまいます。

一方では感情的になって厄介な当事者と思われるのに対し、他方では専門家が法律上冷静に議論していれば、調停委員がどちらに味方をしたくなるかは明らかです。そのため、弁護士に依頼すれば、調停委員を味方にできるメリットもあります。

実は調停委員は、社会生活上で豊富な経験や知識を持つ人や、地域のために活動してきた人などが選ばれます。弁護士など法律に詳しい専門家が調停委員になる場合もありますが、ほかにも医師や公務員、建築士など幅広い職業の人が調停委員を任されます。

このため調停委員は必ずしも遺産分割に精通しているとは限らず、弁護士が遺産相続の法的根拠に基づいた主張をすると、それを優先して受け入れやすいという事情もあります。そのため、遺産分割調停は調停委員が主導するものですが、遺産分割調停に強い弁護士に依頼すれば、調停の流れを自分に有利にリードできる場合もあります。

 

他の相続人との対応を回避できる

遺産分割調停を弁護士に依頼するメリットとして、他の相続人と直接対応せずに済むこともあります。

遺産分割調停は、相続人同士の遺産分割協議がまとまらない場合であるため、他の相続人と人間関係がこじれていることも多いです。

弁護士に依頼すると遺産分割に関する窓口は基本的に弁護士となり、他の相続人への対応も弁護士が行います。他の相続人と基本的に直接話し合う必要がありません。直接話し合わなければ、言いにくいことも主張しやすいですし、感情的にならず論理的な話し合いもできるでしょう。

また、遺産分割調停では他の相続人と同席する場面もあります。このような場合でも、そばに弁護士がついていてくれれば不安も軽減されます。遺産分割で他の相続人と争うのに疲れたので弁護士に任せたいということで、ご依頼される方も少なくありません。

 

遺産分割調停に強い弁護士の選び方

最近は弁護士も増加しているため、どの弁護士に遺産分割調停を依頼すれば良いか悩まれるかもしれません。遺産分割調停に強い弁護士を選ぶためには、以下のポイントを押さえることをおすすめします。

 

弁護士の無料法律相談を利用する

遺産分割調停に強い弁護士は、無料で法律相談を行っていることが少なくありません。遺産分割調停に強い弁護士が無料で法律相談をする理由は、多数の方から遺産分割調停の相談を受けたいという積極的な姿勢でもあります。

そのため、まずは無料法律相談で弁護士に会うことをおすすめします。法律相談では、弁護士がきちんと話を聞いてくれるか、相性が合いそうかをまず確認する必要があります。弁護士に遺産分割調停を依頼すると1年~3年程度の付き合いになる可能性があるため、長期間一緒に頑張ってくれる弁護士を選ぶことが重要です。

 

遺産相続に注力している弁護士を選ぶ

弁護士にも得意分野や注力分野があるのは事実です。しかし、弁護士は、医者と異なり専門医のような資格はありません。そのため、遺産分割調停に強い弁護士か否かを外部から判断することは難しいと言えます。

もっとも、弁護士によってはどの分野に注力しているかを公表している場合もあります。そこで、とくに遺産相続問題に注力している弁護士を選ぶことをおすすめします。弁護士が扱う遺産相続の問題は幅広いですが、遺産相続問題に注力している弁護士であれば遺産分割調停にも強い可能性が高いです。

 

遺産分割調停の方針を提案してくれる

また、弁護士と会って相談したときに、自分が納得できる遺産分割調停の方針を示してくれるかも重要です。遺産分割調停について法律相談をすると、あれもこれも細かいことを質問したくなるかもしれません。しかし、弁護士に依頼するのであれば、細かいことは弁護士に任せることが重要です。

細かいことを色々言われすぎて、弁護士の話が分かりにくい/法律相談が下手だという感想を抱く方は少なくありません。遺産分割調停に強い弁護士であれば、法律相談の経験も豊富なので、細かな点にこだわらず、大きな遺産分割調停の方針を示してくれるはずです。

分かりやすく遺産分割調停の方針を示してくれて、それに納得できるようであれば、遺産分割調停を弁護士に依頼することをおすすめします。

 

遺産分割調停にかかる弁護士費用

遺産分割調停を弁護士に依頼するときに、「高額な弁護士費用がかかるのではないか」と心配されるかもしれません。

弁護士費用には、相談料、着手金、報酬金等があります。

 

相談料:無料の法律相談を利用する

遺産分割調停を弁護士に依頼するときに、最初に生じるのが法律相談による相談料です。

相談料は30分あたり5000円が一般的であり、法律相談は1時間程度はかかることが多いので1万円が目安と言われます。

しかし、遺産分割調停に強い弁護士は、無料で法律相談を行っていることも少なくありません。弁護士との相性を確かめるため、いくつかの法律事務所・弁護士と法律相談を行うことをおすすめします。この場合、いちいち1万円の相談料が生じると負担になりますので、遺産分割調停について無料の法律相談をしている弁護士を中心に相談するのが良いでしょう。

 

着手金:遺産分割調停の依頼時に生じる弁護士費用

着手金は、その名の通り弁護士が遺産分割調停に取りかかるために支払うものであり、依頼の成否にかかわらず生じる弁護士費用です。

案件分野によっては着手金を無料としている法律事務所もあります。しかし、遺産分割調停については原則として着手金を無料とする対応は難しいと考えてください。遺産分割調停は、専門性が高く準備に時間がかかりますし、調停期日の対応等の負担もあるので、弁護士としても着手金を貰わないと動くことが難しいです。

着手金の金額は、遺産分割調停で問題となっている遺産の金額により変わります。遺産の金額が300万円以下なら8%、300~3000万円までは5%+9万円といったように、希望する遺産の金額に応じて変わることが多いです。

 

報酬金:遺産を獲得できた場合に生じる弁護士費用

報酬金は、遺産分割調停が終わった段階で獲得できた遺産の金額に応じて生じる弁護士費用です。日本弁護士連合会が定めていた旧弁護士報酬基準規程によれば、報酬金の基準は、遺産300万円以下の場合は16%、300~3000万円以下は10%+18万円、3000万円~3億円以下は6%+138万円としています。報酬金は各法律事務所が自由に決められますが、実際には旧弁護士報酬基準規程に従う法律事務所が多いです。

 

遺産分割調停の弁護士費用を抑えるための工夫

たとえば、遺産分割調停により遺産を1000万円得られた場合、着手金59万円+報酬金118万円=178万円ほどの費用がかかる計算になります。弁護士費用は決して安くはないですが、弁護士のサポートがあれば費用以上の遺産を勝ち取れる可能性が高まります。

 

弁護士費用について交渉する

そうは言っても、遺産分割調停の弁護士費用は出来るだけ抑えたいと考えられるかもしれません。このような場合、遺産分割調停に強い弁護士に率直に弁護士費用について要望を伝えることをおすすめします。

さすがに相場から大幅にかけ離れた弁護士費用は難しいですが、たとえば着手金を分割払いにして貰う、弁護士費用を1~2割程度の値引きをして貰う等の対応はあり得るところです。

 

ますは相続調査を依頼する

また、遺産分割調停を申し立てる前であれば、まずは相続調査を依頼することも考えられます。相続調査は約25万円程度の弁護士費用で相続人・相続財産を調査して貰うものです。

相続調査を行うことで、弁護士にとっても遺産分割調停の見通しを正確に立てられるため、遺産分割調停の弁護士費用をより正確に見積もることが出来ます。

法律相談だけで提案された弁護士費用よりも、相続調査の結果を踏まえて提案された弁護士費用の方が安くなる場合が少なくありません。とくに獲得できる遺産が1000万円を超えることが想定されるようなときは、過大な弁護士費用にならないようにまずは相続調査を依頼することをおすすめします。

 

法テラスの利用について

弁護士費用を抑えるために法テラスを利用したいと思う方もおされるかもしれません。しかし、遺産分割調停を弁護士に依頼するときはおすすめしません。

法テラスは正直なところ弁護士に非常に評判の悪い制度です。とくに実力があるため依頼が多数ある弁護士は、法テラスでの依頼を断っているケースも少なくありません。また、法テラスで法律相談を受けた場合、遺産分割調停に強い弁護士を選ぶことは出来ず運任せとなります。

多額の遺産を争うような遺産分割調停の場合には、弁護士の力量によっても結果が大きく変わる可能性があります。遺産分割調停に強い弁護士に依頼するためには、法テラスを利用することにこだわると思わぬ大損をするリスクもあるので、おすすめしません。

 

まとめ:遺産分割調停になったら弁護士に依頼する

調停手続きは裁判所を利用して当事者同士で話し合う手続きです。そのため、自分で調停手続きが出来ると思われるかもしれません。案件分野によっては自分で調停を行うこと出来ますが、遺産分割調停は複雑でありかつ高額な遺産を争う手続きであるため自分で行うことはおすすめ出来ません。

遺産分割調停段階から弁護士に依頼することには以下のようなメリットがあります。

  • 遺産分割調停に強い弁護士による法的助言を得られる
  • 弁護士に遺産分割調停の準備を任せられる
  • 獲得できる遺産の金額が多くなる可能性がある
  • 遺産分割調停で調停委員を味方にできる
  • 他の相続人との対応を弁護士に任せられる

遺産分割調停は、弁護士がいるのといないのとでは結果が大きく変わります。遺産金額だけでなく、手続きやほかの相続人との対応などの面でもメリットが期待できるため、遺産分割調停に強い弁護士を見極めて依頼しましょう。

遺産分割調停に強い弁護士を選ぶためには、まずは無料の法律相談を利用することをおすすめします。無料の法律相談で、弁護士から遺産分割調停の方針について提案を受けるとともに、弁護士との相性をご確認ください。弁護士に依頼する場合は相応の弁護士費用がかかりますが、高額な遺産を争う遺産分割調停では弁護士費用を上回るメリットがあると言えます。この記事を参考にして弁護士費用を抑える工夫もしつつ、遺産分割調停のためにうまく弁護士を活用しましょう。

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