家族信託の費用について費用相場や注意点を分かりやすく弁護士が解説

家族信託を考えているものの、家族信託の費用がどのぐらいかや、費用相場が分からず悩んでいませんか? まず結論から言うと家族信託の費用相場は以下の通りです。

  • 不動産がない場合:30万円~50万円以上
  • 不動産がある場合:50万円~70万円以上

 

これだけだと、どのような費用がかかるのか、どのような点に注意して費用を比較検討すれば良いか分からないと思われるかもしれません。

そこで、この記事では家族信託費用について、どのような費用がかかるか、費用相場や節約するための方法、家族信託の費用で損をしないために注意すべき点をまとめました。この記事を読んでいただければ、家族信託の費用が予想外に高くついたという家族信託費用の落とし穴にはまらなくてすみます。

 

日本を代表する四大法律事務所の相続・事業承継部門において、家族信託の活用スキームを取り扱った経験等も踏まえつつ実務的な観点から解説します。

最後までお読みください

この記事は家族信託の費用の全知識をまとめています。最初から最後まで順番にお読みいただくことで、家族信託の費用で損をしないためのポイントを知ることができるので必ず最後までお読みください。

MEMO

家族信託は2015~2016年頃は、家族信託の費用相場は固まっていませんでした。しかし、家族信託の活用が実務的に普及したため最近になって費用相場ができてきました。費用相場の最新動向もまとめています。

 

家族信託の費用を検討する上で知っておくべきポイント

 

家族信託の費用=認知症対策の費用

家族信託が注目されるようになったのは、高齢化社会が進み認知症対策が注目されるようになったからです。

そもそも家族信託は、あなたの財産を管理するための方法です。認知症になったときに備えて、予め信頼できる家族に自分の財産(不動産や預貯金)の管理・処分を任せられるように準備することが家族信託の仕組みです。

従って、家族信託の費用はあなたの認知症対策のための費用です。逆に言うと、家族信託以外に認知症の対策を行っているのであれば、あえて費用をかけてまで家族信託をする必要はないでしょう。

そもそも家族信託は財産管理の費用を節約する仕組み

認知症になったときに備えて財産管理を任せるサービスは、従来は富裕層のみを対象としたものでした。例えば、プライベートバンク等が考えられますが、その利用は一定以上の純金融資産(1億円~5億円以上)を保有する富裕層に限られ、その手数料として高額な費用が必要です。

しかし、認知症対策や財産管理の問題は富裕層のみに生じるわけではありません。そこで、家族信託の仕組みが近年急速に着目されるようになったのです。
家族信託のメリットは、そもそも財産管理を専門家に任せるときの高額な費用を節約することにあります。

家族信託=専門家による財産管理費用を不要にする

家族信託は、あなたの家族・親族に財産管理を任せるようにする仕組みです。家族信託の設計・作成時には費用がかかります。
しかし、従来の財産管理サービスと異なり、財産管理を委ねている間に専門家に継続して生じる費用は原則として不要です。家族・親族が財産管理を行うことで専門家の高額な財産管理費用を不要にするのが家族信託です。

信託銀行・プライベートバンクの提供するサービスとは異なる

ここまで読んで貰うと、家族信託は、信託銀行やプライベートバンクが提供している遺言信託や相続型信託サービスとは全く異なることが分かっていただけるかと思います。

信託銀行・プライベートバンクのサービスを提供すると一定の財産管理費用が生じます。この点が家族信託とは大きく異なる点です。

 

家族信託の流れと費用について

家族信託のためにどのような費用がかかるかは項目別で考えることがポイントです。家族信託の行う流れを知ることで、どのような項目でどのような費用がかかるかを把握できます。そこで、まず家族信託の流れについて簡単に整理します。

 

家族信託の流れと費用が生じるポイント

STEP.1
専門家と相談して家族信託の設計

家族信託は各家庭の事情に応じてオーダーメイドで設計ができる点が特徴です。そこで、まず専門家として家族信託の内容を設計します。

STEP.2
家族信託契約書の作成

STEP1で設計した家族信託の内容を契約書としてまとめます。契約書の作成は専門家の腕が問われるとこであり法律の専門知識が必要です。

STEP.3
公正証書化の手続き

家族信託契約書は公正証書にしておくことが一般的です。契約書があれば公正証書化は自分でもできますが専門家にサポートを受ける方がスムーズです。

STEP.4
信託財産の登記手続

家族信託を設定したときは名義変更等の手続きが必要です。とくに不動産が信託財産であるときは登記手続を行うために費用がかかります。

 

家族信託で生じる費用項目

上記家族信託の流れの手続きにおいて、それぞれ費用が生じます。費用項目を表でまとめると以下の通りとなります。

費用項目 内容
専門家に支払う
コンサルティング料
家族信託の設計・信託契約書の作成を行うために専門家に支払う費用です。
公正証書の作成費用 家族信託契約書を公正証書化するときに費用な費用です。
信託登記手続きの費用 信託財産に不動産が生じるときは信託登記のために司法書士報酬・登録免許税等の費用が生じます。

ここからは家族信託の費用項目に沿って、どのような費用が必要なのかや費用相場を説明していきます。

意外と高額な実費に注意

家族信託の費用は専門家報酬と実費に大きく分かれます。実費というと少ない印象を持たれがちですが、家族信託には意外と高額な実費が必要になります。例えば、東京の不動産が信託財産のケースでは実費が数十万円単位になることもあるので、この記事の解説を読んでしっかりチェックしてください。

 

家族信託の費用①:専門家に支払うコンサルティング料

 

専門家に支払うコンサルティング料とは

家族信託を設定するためには家族信託に強い弁護士・司法書士などの専門家と相談して、家族信託の設計・作成等を行う必要があります。家族信託の設計・作成時に専門家に支払う費用がコンサルティング料(コーディネート費用等とも呼ばれます)です。

家族信託は、新しい制度であって柔軟な設計が可能であることが魅力です。また、信託契約は、一般的な契約ではなく、金銭消費貸借契約のように日常生活に馴染みがありません。そこで、家族信託を利用するためには、家族信託契約の作成や手続について専門家へのサポートが不可欠です。

家族信託に強い弁護士・司法書士のサポートを受けるために費用なのがコンサルティング料です。

MEMO

コンサルティング料には、基本的に専門家との打ち合わせの費用、打ち合わせに基づき家族信託契約書を作成する費用も含まれています。

家族信託のコンサルティング料の費用相場について

費用相場=信託財産の1%程度

家族信託のコンサルティング料についての費用相場は信託財産の1%程度です。家族信託が普及するにつれて、家族信託の費用相場は概ね固まってきました。

この中で専門家のコンサルティング料として一般的に使われているのが信託財産に一定料率をかけて算定する方法であり、基本的には信託財産の1%程度を目安として費用相場が形成されています。

例えば、一般社団法人家族信託普及協会では、家族信託のコンサルティング料の報酬基準を示しています。ここから大きく外れることはないでしょう。

信託財産の金額 コンサルティング料
1億円以下の部分 1%(但し、最低金額30万円)
1億円~3億円以下の部分 0.5%

コンサルティング料で損をしないためのポイント

コンサルティング料の費用相場は上記のような報酬基準が浸透してきたため、専門家によって大きく違いはありません。

それでも、コンサルティング料で損をするケースがあります。それは信託財産をどのように評価するかです。例えば、信託財産に不動産があるときは、「不動産をいくらの信託財産と見るか?」で違いが生じます。

例えば、不動産を市場価格(時価)で評価すると高額ですが、良心的な専門家であれば市場価格よりも低額な固定資産税評価額で評価するはずです。このような思わぬ落とし穴がありますので損をしないようにご注意ください。

複数の専門家から見積りを取る

専門家のコンサルティング料は基本的には似たような報酬基準で算定されますが、微妙に算定根拠が違うため複数の専門家から見積りを取得して比較することを強くおすすめします。「どの専門家も同じような費用ですよ」と言って、相見積りをさせずに契約を急かす専門家・業者にはご注意ください。

 

家族信託の費用②:公正証書手続きに必要な費用

家族信託は必ずしも公正証書にする必要はありません。しかし、信託契約書は認知症になったときに自分の財産管理を任せる重要な契約書なので公正証書にすることが多いです。

そのため公正証書手続きのために費用が生じます。

公正証書化のメリット
  • 証拠能力が高いため紛争が起きにくい
  • 万が一の紛失時に再発行が可能

 

公正証書にするための実費について

家族信託を公正証書にするためには公証役場に行って手続きを行う必要があります。このとき公証役場で支払うための実費が必要になります。

公正証書にするための実費については、信託財産の金額に応じて3~10万円程度が目安です。

(参考例)

信託財産の金額 公正証書の実費
3000万円の場合 2万3000円
5000万円の場合 2万9000円
1億円の場合 4万3000円
3億円の場合 9万5000円
費用節約のコツ

公証役場は固いイメージがありますが意外と交渉ができたりします。とくに信託財産の金額に評価の余地があるときは、打ち合わせにおいて多少の融通を利かせて貰えるときもあります。

公正証書作成のサポート費用:10~15万円

公正証書の作成は自分で行うこともできますが、専門家にサポートを依頼することもできます。公正証書を作成するのが初めてであれば、公証人との打ち合わせ、公証役場への同行を専門家に依頼することもできます。

この点は専門家によって費用相場は少し幅が有りますが10~15万円程度は必要になるでしょう。

費用節約のコツ

公正証書の手続きは自分で行うこともできます。この点を専門家に依頼するべきかと聞かれたら、「自分でできるなら必要ありません」という回答になります。少し自分で調べてみて不安であれば専門家にサポートを依頼するので良いでしょう。

 

家族信託の費用④:信託財産の登記手続費用

信託財産に不動産が含まれているときは、不動産の変更登記が必要になります。登記手続きの費用として司法書士報酬と登録免許税が必要となります。

 

信託財産の司法書士報酬:10万円程度

家族信託に伴う変更登記は信託財産に特有の手続きです。従って、信託財産の登記手続きは家族信託に強い司法書士に依頼することになります。このときの司法書士報酬として10万円程度が必要になります。

弁護士に依頼したときは?

家族信託を弁護士に依頼したときは、弁護士が見積りをするときに家族信託に強い司法書士に登記手続きを手配します。家族信託に強い弁護士であれば、見積時に弁護士費用・司法書士報酬を合わせて提案してくれるはずなのでご安心ください。

信託登記に必要な登録免許税:土地0.3%/建物0.4%

信託登記を行うときの費用として登録免許税が必要となります。登録免許税は信託財産の固定資産税評価額を基準として土地0.3%/建物0.4%です。

例えば、東京に自宅不動産を所有しており、これの時価が約7000万円だとすると固定資産税評価額は約5000万円程度になります。自宅不動産のうち土地の固定資産税評価額が3500万円、建物の固定資産税評価額が1500万円の場合、16万5000円(3500万円×0.3%+1500万円×0.4%)が信託登記のための登録免許税として必要になります。

 

家族信託の運用開始後の費用に注意する

ここまでが家族信託の設定時に必要な費用です。しかし、無事に家族信託を設定して終わりではありません。家族信託費用の注意点として、運用開始後に費用が生じる場合があることにご注意ください。

 

家族信託は運用が大切

家族信託は認知症に備えるものです。そもそも、家族信託は、あなたにもしものことがある場合備えて、信頼できる家族・親族に対して財産管理を任せることです。あなたが健康で無事であれば、長期間、信託を利用した財産管理を行って貰うことになります。

そのため認知症になるまでの間に想定より生活スタイルが変わった又は財産管理を他の家族・親族に任せたいということも少なくありません。従って、家族信託の運用開始後の対応が必要になるケースがあります。

家族信託の運用開始後に生じる費用について

家族信託の運用開始後に修正・変更を加えるときやトラブルが生じたときに専門家のサポートを受けると費用が生じます。

原則として、家族信託は設定時にのみ費用が生じるものですが、もし家族信託の運用について専門家に継続的に相談したいのであれば、予めそのような費用が生じる可能性も踏まえて検討する必要があるでしょう。

家族信託を巡るトラブルが生じたときの費用について

また、家族信託を設定すると、財産管理を第三者に任せることになるためトラブルが生じる可能性があります。当初信頼していた家族・親族と関係が悪化した場合や、財産管理を任せない家族・親族からクレームがつく場合もあります。

このような場合、家族信託をサポートしたのが弁護士であれば、弁護士は紛争事案に対応することができます。しかし、司法書士や税理士は、原則として紛争事案に関与できない(弁護士法違反になるため)ことには注意が必要です。

家族信託のサポートを依頼した専門家が紛争事案に対応できなければ改めて弁護士に依頼する必要があります。しかし、家族信託に強い弁護士は少ないため、特別な案件だとして高額な弁護士費用が発生したり、最悪の場合は専門外であるとして断られる可能性もあります。どの専門家に家族信託を依頼するかを比較するときに、このような点も考慮するのであれば最初から家族信託に強い弁護士に依頼することをおすすめします。

 

家族信託の費用についてよくある質問

 

どの専門家に依頼するかで費用相場は変わりますか?

家族信託に強い専門家の間では家族信託の費用相場ができつつあるので、専門家によって家族信託の費用相場が大きく変わることはありません。


信託銀行・プライベートバンクとの違いは何ですか?

そもそも「家族信託」と名前がついていても、銀行・プライベートバンクのサービスと弁護士・司法書士等の提供しているサービスは別物です。目的が違うので比較対象として適切ではありません。

家族信託の違いに注意する

信託銀行・プライベートバンクのサービスはあくまで資産運用を目的とした金融商品です。これに対し、正しい家族信託は認知症対策などに備えて生前に家族・親族に財産管理を委ねる仕組みであり全くの別物ですのでご注意ください。


家族信託の費用を比較するときの類似サービスはありますか?

家族信託の費用を検討するときは、成年後見・任意後見と比較するべきです。いずれも認知症対策の制度ですが、家族信託は設定時に費用がかかる、成年後見・任意後見は継続的に費用がかかる点が違いです。

家族信託と後見制度の費用比較

家族信託の費用は一見すると高額ですが、設定後は家族・親族が財産管理を行うため費用がかかりません。しかし、後見制度は財産管理を専門家が行うため継続的に費用が必要です。具体的には後見制度では月額3~5万円程度の報酬が生じます。

認知症が発症してから死亡するまでの平均期間は約8年程度と言われていますので、月額2万円の報酬でも合計192万円にもなるため、費用を比較したときは家族信託を予め設定しておく方が得なことが多いでしょう。


家族信託の費用の見積りをしてもらえますか?

家族信託の相談・見積りは無料で対応しておりますのでお気軽にお問い合わせください。見積りでは家族信託のメリット、他制度との比較、各費用項目等を丁寧にご説明いたします。


家族信託の見積りに資料は必要ですか?

信託財産として考えているものの簡単なリストをご用意ください(どんな財産があるか、及び財産の金額が分かるもの)。また、信託財産に不動産があるときは、その不動産の固定資産税評価証明書もご持参いただけますと幸いです(手元になければ不要です。)。

 

まとめ:家族信託の費用で損をしないように注意する

この記事では家族信託の費用について、どんな費用があるか、それぞれの費用相場や損をしないための注意点を解説しました。最後に大事な点をまとめておきます。

  • 家族信託の流れに沿って費用項目を把握する
  • 専門家報酬と実費があるが意外と高額な実費に注意
  • コンサルティング料は費用相場ができつつある
  • 公正証書の手続きは自分でやれば節約できる
  • 信託登記には司法書士報酬以外に登録免許税に注意

 

家族信託の費用について不安や悩みがあれば家族信託に強い弁護士に相談することをおすすめします。

アイシア法律事務所でも家族信託について無料法律相談を実施しております。一度ご相談されることをおすすめします。