遺産分割の方法-主要3種類の方法と注意点を相続弁護士が解説

遺産分割の方法には、現物分割、換価分割、代償分割の3種類の方法があります。遺産分割の方法は、相続人間で遺産(相続財産)を貰う割合(相続分の割合)が決まったあとで、相続分通りに遺産を分配するための方法を考えるものです。

遺産分割の方法のうちどの種類を選択するかは何が相続財産かで変わります。まとまらなかった遺産分割協議も、遺産分割の方法を工夫することによって話し合いがまとまることがあります。

共有分割について

遺産分割の方法は他に共有分割という種類があります。しかし、共有分割はトラブルのもとになりやすいため絶対におすすめしません。簡単に言及しますが、主要な遺産分割方法である現物分割、換価分割、代償分割の3種類を中心に解説します。

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遺産分割の方法が問題になる場面

 

相続分の割合が決まったタイミング

相続が発生すると相続調査を行って誰が相続人か、どのような相続財産があるかを把握します。相続人が判明すれば、誰がどの程度の割合で遺産を貰うかが分かります。

例:父親が死亡し、相続人が母親と子ども3人だったケース

相続人 相続分の割合
母親 1/2
子ども(3人) 各1/6

このように相続分の割合が決まったとしても、現実に誰がどの遺産(相続財産)を貰うかは決まっていません。そこで、具体的にどのように遺産を分配するかを決めるときに遺産分割の方法が問題になります。

遺産分割の方法=遺産(相続財産)の対象に不動産があるとき

遺産分割の方法が問題になるのは遺産(相続財産)に不動産があるときです。預貯金だけが遺産分割の対象であれば、合計金額に相続分の割合をかければ分配は容易です(問題になるのは端数だけでしょう。)。

しかし、通常の遺産相続問題では遺産(相続財産)には現金・預貯金だけでなく、不動産や動産があります。動産は価値が低いので問題になることは稀ですが、とくに不動産は高額な遺産であるため遺産分割が問題になるのです。

実家と収益不動産の違いに注意

不動産でも実家と収益不動産では、とくに実家をどうするかが問題になりやすいです。残された配偶者の生活本拠でもありますし、家族にとって思い入れが深ければ感情的に対立が起きやすいからです。

具体例でみる遺産分割方法の問題点

例えば、先ほど例にあげた父親(被相続人)が死亡し、相続人としては母親(相続分:1/2)と子ども3人(相続分:各1/6)がいるとします。

そして、相続財産が合計9000万円あり、預貯金が2000万円で、不動産として実家(5000万円)と収益不動産(2000万円)があるとします。

このような場合に母親が生活を変えたくないため実家を貰うと、母親は相続分(=1/2:4500万円)を超えて遺産(=5000万円の実家)を貰うことになります。また、子どものうち2人が現金で遺産を貰うことを希望したら、現金が2000万円しかないため、子ども2人(1/6:1500万円×2=3000万円)に現金を分配することはできません。

相続分の割合まではスムーズに決まっても、現実に遺産を分配する方法を巡って争いになることは少なくありません。

 

3種類の遺産分割方法とそれぞれの注意点

なぜ遺産分割方法が問題になるかを理解した上で、どのような遺産分割方法が考えられるかを説明します。遺産分割方法には、現物分割、換価分割、代償分割の3種類があります。

 

01 現物分割

現物分割とは、相続財産をそのまま各相続人に分配する方法です。

例えば、遺産(相続財産)として、現預金、実家、収益不動産、株式があるようなケースにおいて、母親は実家を相続して住み続け、子どもたちがそれぞれ現預金、収益不動産、株式を貰う遺産分割方法です。

現物分割のメリット

現物分割のメリットは、相続財産を単独で相続するため、とくに土地や建物については相続財産移転のための手続が比較的簡単です。

現物分割は限定的

他方で、現物分割がスムーズにいくのは相続財産の価値が等しいという限定的なケースです。現実には相続財産の価値がバラバラであるため、どの相続財産を取得するかで差を生じてしまい遺産分割協議の話し合いがまとまりません。例えば、上記例で現預金が300万円、収益不動産が2000万円、株式が1000万円の価値のときは、子どもたちが最も高額な収益不動産を欲しがるため揉める可能性が非常に高いです。

相続財産が現預金や株式という分割しやすいものでなく、土地・建物が多い場合には現物分割は有効な方法ではありません。

現物分割が有効なケース
  • 相続財産の価値に差がないとき
  • 現預金・株式が多いとき

02 換価分割

換価分割とは、遺産(相続財産)が株式や土地・建物であるときに、これを第三者に売却し、売却代金を各相続人間で分配する方法です。
第三者に売却することで遺産(相続財産)が現金になるため(換価)、相続人間で分配しやすくなります。

例えば、相続人の子どもが3名いるときに

相続財産のうち収益不動産を2000万円で売却し、株式を1000万円で売却すれば、売却代金を1人あたり1000万円ずつ分配できます。

換価分割のメリット

換価分割の方法は相続財産をいったん現金にするため各相続人間で平等に分けることができるというメリットがあります。従って、不動産や株式等が遺産に含まれているときには有力な手段です。

換価分割に反対されるとき

しかし、遺産(相続財産)のうち先祖代々の土地・建物や実家については売却に反対される可能性があります。また、遺産(相続財産)の不動産に相続人の誰かが住んでいる場合も、その相続人から反対されるでしょう。
また、不動産や上場株式と異なり、非上場株式等の遺産(相続財産)は売却が難しいこともあるので注意が必要です。

なお、換価に伴う売却時に相続人全員に課税が生じる可能性があるので、この点もあわせてご注意ください。

換価分割が有効なケース
  • 相続財産を現物分割できないとき
  • 上場株式・収益不動産等の売却しやすい遺産が多いとき

03 代償分割

代償分割とは、相続人のうち誰かが遺産(相続財産)を単独で取得する代わりに、他の相続人に対して代償金を支払う方法です。

例えば、相続財産のうち実家(5000万円)については母親(相続分:1/2=4500万円)が取得する代わりに、取得した実家の金額のうち相続分を超えた金額(5000万円-4500万円=500万円)を他の相続人に対して代償金として支払う方法です。

代償分割は、遺産(相続財産)に不動産があるときに、その不動産に住んでいた相続人(被相続人の配偶者や、亡くなった両親と同居していた子どもなど)がその不動産に住み続けたいときに選ばれるケースが多いです。

代償分割のメリット

代償分割は遺産(相続財産)を売却せずにすむため、遺産(相続財産)に住み続けたい、又は思い入れがあるので売却したくないという希望を実現できます。また、取得する相続財産の価値と相続分の差額をお金で精算するため柔軟な対応が可能です。

代償分割の注意点

他方で、代償分割は相続財産を取得した相続人が代償金を支払う必要があります。相続財産を現物で取得するため、相続税の支払いも生じるときは、相続財産以外に多額の現金が必要となります。
とくに遺産(相続財産)に現預金が少ないときは、相続人が元々多額の現金を持っていたようなケースでないと使えません。

また、相続人同士の間で相続財産の評価と代償金の金額を巡って争いが生じやすい遺産分割の方法です。実家を取得した相続人は「実家はそんなに価値がない」と主張して代償金を減らしたい一方で、他の相続人は「実家はもっと価値がある」と言って多くの代償金を貰おうと考えるからです。

その他:共有分割について

共有分割とは相続財産を相続人同士で共有する方法です。例えば、不動産を共有分割にすると相続人はそれぞれ不動産の持分を取得します。しかし、共有分割は問題点の多い遺産分割の方法ですので通常は利用できません。

持分を持っているだけでは意味がないため、誰がその相続財産を現実に利用するかの話し合いが別途必要になります。また、相続財産を売却したり、管理したりするときに共有者である相続人同士で協議をすることになり非常に大変です。

遺産分割の方法として共有分割はあるものの、原則としては使わないようにするということを覚えておいてください。大阪高裁平成14年6月5日決定は、共有分割は最大限回避するべきだという考えに基づき、ほとんどの遺産を共有分割とした原審を取消、換価分割が相当と判断しています。

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どの遺産分割の方法を使うか?

どの遺産分割の方法が良いかは相続財産や相続人の意向で異なります。一応の目安としては以下の通り考えてください。

STEP1:現物分割を行う

相続財産のうち価値が等しいもので相続人が納得できるのあれば、まずは現物分割で遺産(相続財産)を分配します。

STEP2:換価分割を検討する

相続財産に占める割合が多い不動産等で相続人の誰かが取得すると不公平になってしまうのがあるときは現物分割が使えません。そのときは次に換価分割を検討します。換価分割を行うときは以下のような点を考慮します。

  • 相続財産は売却しやすいか?
  • 相続人が売却に反対しないか?
  • 不動産・株式等が値下がりしており現在売却すると損をしないか?

STEP3:代償分割を行う

換価分割が難しいケースでは代償分割を検討します。代償分割を行うときは以下のような点を考慮する必要があります。

  • 相続財産を取得する相続人は代償金を払えるか?
  • 相続人間で相続財産の評価が合意できるか?

STEP4:どうしても揉めるときは

様々な遺産分割の方法を検討しても揉めるケースも少なくありません。とくに換価分割には感情的に反対であるものの、現預金が少なくて代償金・相続税が支払えないため代償分割ができないケース等では遺産分割の話し合いが揉めます。

このようなケースでは遺産分割協議、遺産分割調停・審判などの遺産分割の手続きが必要になることもあります。詳しくは下記記事を参考にしてください。
(参考)遺産分割の手続きで損をしないための進め方と知っておくべきポイント

 

弁護士に依頼した方が良いケース:遺産分割の方法に特別な事情があるとき

 

CASE1:自社株式があるとき

被相続人が会社経営者であったようなときで、遺産(相続財産)に被相続人が経営していた会社の株式があるときは要注意です。誰が会社の後継者となるのか、又は会社を売却するのかなどは知識・経験が必要です。

また、上場株式と異なり非上場株式は評価が困難です。様々な問題点があるため早めに遺産相続問題に強い弁護士にご相談ください。

CASE2:誰も欲しくない相続財産があるとき

近年は空き家が社会的問題になる等していますが、遺産相続問題においても誰も住めないし売却も難しいため誰も欲しがらない相続財産の問題があります。このような相続財産は地方で周りに誰もいない不動産などが多いのですが、相続で取得すると管理や税金などの負担が生じます。

誰も欲しくない相続財産があるときは遺産分割の話し合いがなかなかまとまりません。今まで解説した遺産分割の方法では解決できないことも多いので、早めに弁護士にご相談ください。

 

遺産分割の方法を考える

遺産分割で一番揉めるのは遺産分割の方法をめぐってです。相続分の割合までは相続発生直後に分かっても、具体的にどのように相続財産を分配するかは相続人同士で合意が難しくなります。そのため適切な遺産分割の方法を選ぶことが重要です。

最後に重要な点をまとめておきます。

  • 遺産分割方法には現物分割、換価分割、代償分割がある
  • 相続財産の価値が等しいときは現物分割を使う
  • 換価分割は相続財産を売却できるときにおすすめ
  • 代償分割は柔軟な対応ができるが現金が必要
  • 相続財産に自社株式があるときは弁護士に相談する

遺産分割の方法を巡ってどうしても合意ができないときは遺産分割の調停・審判も検討する必要があります。もめてしまい良いアイディアがでないときは、相続に強い弁護士にご相談ください。

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